2章では「コロナウイルス」の由来や構造、そして感染の経緯などについて、図や写真などが交えられて、分かりやすく述べられている。
普段の私達の日常会話においても、もはや耳にするのが当たり前になってきた「コロナ」という言葉…
元々はラテン語で「冠」を意味する言葉なのだそう。
皆さんも今までにテレビなどで、
「世界の○○では皆既日食が見られたとのことです、現場の○○さ~ん!」
みたいなニュースを1度は目にしたことはないでしょうか。
皆既日食とは太陽・月・地球が一直線に並んだ時、地球上のごく一部で太陽が月に完全に覆われて見えなくなる現象のことであるが、その様子を見ていると月に覆われる瞬間に黒い太陽の周囲から白い放射状の光が見える。
この白い放射状の光が「コロナ」である。
コロナウイルスは表面に「スパイク」と呼ばれるタンパク質を突き出していて、その形状が太陽のコロナの様に見える事から「コロナウイルス」と名付けられたんだとか。
そして、この表面から突き出したスパイクこそが、あの爆発的な感染力を生み出している。
本書ではウイルスが、肺組織に侵入したと仮定して感染の経緯を説明している。
コロナウイルスがヒトの肺組織などに侵入すると、肺や血管の細胞表面にあるACE2という受容体と結合するのだが、その結合がこの「スパイク」を介して行われる。
この次の段階で細胞の膜表面にあるタンパク質を分解する酵素によってスパイクのタンパク質が分解されることでウイルス膜と細胞膜が融合し、ウイルスの遺伝子がヒトの細胞内に注入される。
この状態がいわゆる「感染」である。
こうして侵入したウイルス遺伝子が細胞の複製機能を乗っ取り、自らをどんどん増殖させ、やがて複製されたウイルス遺伝子も新たなウイルス粒子となって飛び出すことで、別のヒトへと感染していく。
この増殖過程で正常だった細胞の機能に障害が起きることで、様々な症状を引き起こす。
肺に感染すると「呼吸困難」、舌に感染すると「味覚障害」、鼻の粘膜だと「嗅覚障害」といったように。
人によって感染後の症状が異なるのはこのためである。
読んでみると自分でも「コロナ」や「感染」といった言葉を、いかに曖昧な解釈で使っていたかが身に染みて、反省する今日この頃であります。