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人類とウイルスの免疫戦争3

 3章は世界と日本の感染状況のお話。

 

 新型コロナウイルスは武漢を起点として中国国内で急速に広まり、その後はヨーロッパ各国、そしてアメリカでも瞬く間に感染が広まり欧米ではパニック状態になった。

 

 しかしそれらの国とは対象的に、当初の日本では入国制限や渡航禁止などもしていなかったにも関わらず上記の国などに比べて、感染者数や死者数は極めて少なかった。

 

 それはなぜか。

 

 この現象には、東アジアの特徴最初に入って来たウイルスの種類が関係している。

 

 本書によると国内初の感染者が確認されたのは2020年の1月であるが、実際はS型と呼ばれる弱毒のコロナウイルスが2019年の暮れ頃に、来日していた多くの中国人と共に、既に日本に入ってきていたという。

 

 しかし、弱毒ということもあり感染してもほとんどの人に症状がなかったため、その事実に誰も気づいていなかった。

 

 その後の世界中の新型コロナウイルスの遺伝子研究により、ヨーロッパに最初に入って来たのは強毒株であることが判明しており、これがイタリア、スペイン、イギリスおよびアフリカなどに急速に広がっていったのだという。

 

 また、東アジアには古くから土着のコロナウイルスが住み着いているため、元々民族的にヨーロッパ各国やアメリカなどに比べてコロナウイルスへの耐性が付いていた。

 

 一昔前に中国や韓国で流行したSARS(サーズ)やMERS(マーズ)と聞くと、ピンと来る人もいるかもしれない。これらも土着のコロナウイルスの一種である。

 

 まとめると、日本と世界で当初の感染状況が大きく異なった理由は以下のようになる。

  1. ヨーロッパや欧米は強毒のコロナウイルスが最初に入って来たため、初めてのウイルスに免疫を持っていない状態で急速に感染が広まった。
  2. 東アジアや日本には古くから土着のコロナウイルスが住み着いており、日本人は民族的にウイルスへの耐性があった。
  3. 日本には弱毒のコロナウイルスが最初に入ってきたため、気づかずに感染していた人たちがコロナウイルスに対しての「集団免疫」を獲得していた。

 

 2章での「集団免疫」の効果が、如実に表れていることが分かる。 

 

 そしてこの3章の最後で、筆者は非常に重要な問題点について触れている。