生きてはいない、ただ死んでないだけ

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人類とウイルスの免疫戦争6

 本書の6章のデータによると、武漢での感染者、死亡者、年齢の関係は次の通りである。

 

  1. 10代以下の若者は極めて低リスクである
  2. 活動度の高い青年期から60代までは、感染しやすいが無症状や軽症である
  3. 活動度が下がる高齢者では、感染者が低下する代わりに重症化しやすくなる

 

 本章で掲載されたグラフでは、年齢が高くなるにつれ死亡率が右肩上がりになっており、特に60歳以上からの上がり具合が顕著である。

 

 この傾向は世界共通であり、日本のデータでも同様の傾向がみられる。

 

 以上の結果を踏まえた上で、筆者は癌の化学治療を受けている人、そして糖尿病や生活習慣病のある高齢の「免疫弱者」を集中的にケアする必要があること。一方で、極めてリスクが低い若年層や働き盛りの世代は、過度な自粛はせず適切な感染予防をした上で、しっかり経済活動をするのがバランスのよい対処法だと述べている。

 

 適切な感染予防といっても非常にシンプルで、それはこれまで私たちが実践してきた「手洗い」や「うがい」。

 更に予防効果を上げるのであれば「鼻洗浄」をすることで、鼻粘膜のウイルスを除去できるためウイルスの侵入をさらに軽減できるという。

 

 そして意外だったのは、「トイレの洗浄や消毒」

 

 2章の記事でコロナウイルスは感染の経緯の中でACE2という受容体と結合することを書いたが、このACE2は人間の小腸に最も多く含まれている。

 分布図を見るとその差は歴然で、その濃度は2番目に多い大腸の倍以上もあるから驚きである。

 

 ウイルスが小腸や大腸に感染すると、便と一緒にウイルスも体外へ排出されるため、トイレを介して感染する可能性が高い

 実際、自粛後に家庭内感染するケースが増えていたが、これも一つ屋根の下でトイレを共有していたことで感染が広まったと考えると筋が通る。

 

 つまり、家庭内感染のリスクを下げるには、トイレをこまめに消毒・洗浄するのが効果的だと言える。

 

 いまや世界中で繰り広げられているワクチン開発…

 

 確かにコロナへの恐怖心から、我先にとワクチンを打つことに躍起になっている人も多い。

 

 しかし、コロナから身を守るための手段はワクチンだけではない。

 

 手洗い、うがい、消毒、マスク、こまめなトイレの洗浄…

 

 目の前の自分にできる事を継続していくことの方が、ワクチン争奪戦よりもずっと大切なことだと僕は思う。