「ととのう」とは、サウナー用語の1つで「サウナ後の心身ともに調子がいいと感じられる状態」を指した言葉だ。
これは普段私たちが使っている「整う(きちんとまとまった状態や形になる、調和がとれるの意。)」という言葉から来ているのだろう。
サウナーでもある筆者は、「ととのった」時の感覚を次のように書いている。
その(ととのう)感覚は人によって表現方法も違いますが、私自身は、ととのいイス(外気浴をする時に座るイス)に座って目を瞑り、頭がスッキリしたと実感できた時に、「ととのった」と感じます。独特の浮遊感と、体の輪郭があいまいになるような感覚もあります。
リラックスはしているけれど、眠いわけではなく、むしろ清明に意識は晴れています。そしてサウナに入る前は気づかなかった匂いや、換気扇の音、着替えのときのTシャツの肌触りなど、通常は気づかないことに敏感になります。
こうして見ると、”おっさんのイチモツ” か ”Tシャツの肌触り” かという違いはあれど、「トリップ感」や「意識が冴えた感覚」という点では、前回の記事で書いた僕が経験した感覚とかなり共通するように思える。
じゃあどうしてサウナに入ると、人は「ととのう」のか?
その流れを簡単に書くとこんな感じだ。
サウナでの高温状態というのは、人体にとってはまさに「非日常的な危機的状況」である。
サウナに入ると私たちの人体は、この ”100度近くある超高温” という危険な環境に対応するために全集中する。
次に水風呂で体の芯から極限まで熱せられた体が、今度は冷水につけられる。
さっきまで極限に熱い環境に対応するために集中していた人体は、いきなり極限に冷たい環境になったので当然びっくりする。
しかしびっくりしている暇もなく再び生命の危機を感じるため、人体は自律神経、心拍、血圧、血流量、脳内ホルモンなど持てるすべての力を総動員して、環境に適応しようとする。
そして外気浴でようやく生命の危機を脱したと判断した人体は、急速に総動員していた力を緩めていく。
するとエネルギーの浪費が止まり、脳の動作が軽くなって頭はスッキリとして、血流量も増えるので肩こりや腰痛も和らぐ。
こうして心身がコンディショニングされ「ととのって」いくというわけ。
ちなみに、ソープランドで心身ともにスッキリする前に座るイスは "すけべイス"と言います。